本校は,2011(H23)年度に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されました。
2011(H23)~2015(H27)年度の第Ⅰ期SSH指定の5年間は「豊かな未来を創造できる人材育成のためのカリキュラムの研究開発~豊かで持続可能な社会を構築できる人材の育成~」を研究開発課題に掲げ,ESD(持続発展教育)の観点を取り入れたSSHの研究開発を行いました。特に2014(H26)年度からは全校での課題研究を実施し,生徒の主体的・協働的な学びを引き出すうえで,大きな効果がありました。
2016(H28)~2020(R02)年度に取り組んだ,第Ⅱ期SSHでは「科学する力をもった“みりょく”(実力・魅力)あふれるグローバルリーダー育成プログラムの確立」を研究開発課題に掲げ, 第Ⅰ期SSHで構築した全校での課題研究における主体的・協働的な学びを全教育活動に拡充することで,「これからの未来をたくましく生き抜く自律した十八歳」の育成および真正な学習を創出する「未来型」の進学校への進化を目指し,カリキュラムの研究開発に取り組みました。
そして,2021(R3)年度から新たにスタートした第Ⅲ期SSHでは,「科学する力とエージェンシー(*1)を発揮し,よりよい世界を創造する学際的サイエンスリーダーの育成」を新たな研究開発課題に掲げ,ますますVUCAになる世界において,よりよい社会を創造するサイエンスリーダーとして必要なエージェンシーを育成するためのカリキュラムの研究開発に取り組んでまいります。
エージェンシー(Agency)とは,よりよい社会の実現に向けて,自分で目標を設定し,振り返り,社会に対する責任をもって行動する能力とされています。
OECD(経済協力開発機構)が2015年に立ち上げ,2030年に向けて子どもたちに求められるコンピテンシー(資質・能力)やそれを育成するための学び方やカリキュラム・指導法を検討する国際プロジェクト「Education2030プロジェクト」が2019年5月に公表した「OECDラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」においても,生徒エージェンシー(Student Agency)は中心的な概念として位置づけられています。
ますますVUCA(*2)になる世界において,自分にとってだけでなく「私たちの実現したい未来(The Future We Want)」の実現に向け,社会や学術に対する応答責任をもって,自らを舵取りできるサイエンスリーダーとして活躍するために必要な,科学する力とエージェンシーを向上させるためのカリキュラム,及びエージェンシーを測定するための長期的ルーブリックの研究開発を行う。
VUCAとは,Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字を並べた言葉で,予測不能な現代の経済や社会状況を表現した用語です。
第Ⅲ期SSHでは,以下の3点を重点研究開発テーマに設定しています。
SSH第Ⅱ期で確立した科学する力をもったグローバルリーダー育成プログラムをさらに発展させ,現状に疑問をもち,他者と協働しながら,既存の枠組みにとらわれずに考える学習活動等を徹底することで,生徒一人一人の科学する力とエージェンシーをさらに高め,よりよい世界の創造に向けたイノベーション力を向上させるためのカリキュラムおよび評価法の研究開発を行います。
第2・3学年に,第3の類型である「探究系」を設置し,自然科学と人文・社会科学の双方のアプローチからトランスサイエンスの解決を目指す「iD課題研究」や,教科等の知識を融合し,実社会での問題解決につなげる方法を学ぶ「Global Issues」や「プロダクトデザイン」などの探究系独自のSS科目等を通して,学際的サイエンスリーダーの育成を目指します。
探究系を設置し,多様性の増した刈谷高校で,探究系生徒と文系・理系生徒,上級生と下級生,刈高生とオーストラリアの高校生などをコラボレーションさせるような学習環境をデザインすることで,生徒一人一人の学術・国際的共創力の向上を目指します。
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)は,文部科学省が科学技術,理数教育を重点的に行う高等学校等を指定する制度であり,平成14年(2002年)にスタートしました。SSH指定校は,先進的な理数教育を実施するとともに,高大接続の在り方について大学との共同研究や,国際性を育むための取組を推進します。また創造性,独創性を高める指導方法,教材の開発等の取組を実施します。
詳しく知りたい方はこちらをクリックしてください(国立研究開発法人 科学技術振興機構のSSHのページに移動します)