オーストラリアクイーンズランド州を舞台に実施する科学研修。現地高校にホームステイをしながら通学し,授業体験や課題研究のポスターセッションを実施しています。また,クイーンズランド大学をはじめとした現地研究機関での研修や,スプリングブルック国立公園などの世界自然でのフィールドワーク等も行っています。

●目的

オーストラリアにて,現地研究機関や大学にて講義を受けたり,フィールドワークを実施する中で,地球規模での自然科学や先端科学・技術についての認識を深め,持続可能な社会を創造するグローバルリーダーとして将来国際社会で活躍するための素養を育成する。また,現地高校での科学プレゼンテーション発表や交流授業参加を通して,科学英語コミュニケーション能力を高めるとともに,異なるバックグラウンドをもった人々と協働する態度を養う。

●2020(令和2)年度 実施概要

 *当該年度の研修は新型コロナウイルス感染症の影響により実施取り止めとなりました

●2019(令和元)年度 実施概要

 *当該年度の研修は新型コロナウイルス感染症のによる全国一斉休校措置により,渡航直前に渡航取り止めとなりました

●2018(平成30)年度 実施概要

(1)日時

  2019(平成31)年 3月3日(日)~11日(月) 6泊9日

(2)場所

  オーストラリア クイーンズランド州 ブリスベン及びゴールドコースト周辺

(3)おもな訪問先

  ・Alexandra Hills State High School(アレクサンドラヒルズ州立高等学校)
  ・The University of Queensland(クイーンズランド大学)
  ・UQ Moreton Bay Research Centre(クイーンズランド大学モートンベイリサーチセンター)
  ・WRREA(野生動物救護リハビリ教育協会)
  ・Springbrook National Park(スプリングブルック国立公園)
  ・Lone Pine Koala Sanctuary(ローンパインコアラ保護区)
  ・Science Centre(サイエンスセンター)

(4)参加者

  第2学年生徒 希望者 15名,引率教員2名(合計17名)

(5)行程

日付場所日程概要
3(日)・移動日(中部国際空港=✈=香港=✈=ブリスベン空港)  
  【機内泊】
4(月)ブリスベン・空港到着後,専用車にてアレクサンドラヒルズ州立高校(以下AHSHS)へ
・AHSHSにてオリエンテーション,サイエンス系の授業に参加・交流
  【ホームステイ】
5(火)ブリスベン・AHSHSにてサイエンス系の授業に参加・交流
  【ホームステイ】
6(水)ブリスベン(AM)AHSHSにてサイエンス系の授業に参加・交流
(PM)AHSHSにて課題研究成果に関するポスターセッションを実施
  【ホームステイ】
7(木)ブリスベン(AM)野生動物救護リハビリ教育協会にて,野生動物保護に関する講義及び実習
(PM)クイーンズランド大学ガットンキャンパスにて,講義及び施設見学,附属動物病院見学
  【ホームステイ】
8(金)ブリスベン・ホストファミリーとお別れ後,フェリーにてノースストラドブローク島へ
・クイーンズランド大学モートンベイリサーチセンターにて,海洋生態系や海洋環境保護・マングローブ等に関する講義及び野外観察・実習を実施,野生のコアラ及びイルカ等の観察
  【モートンベイリサーチセンター泊】
9(土)ゴールドコースト(早朝)ノースストラドブローク島にて野生動物探索
・フェリーにて本土に移動
・スプリングブルック国立公園にて,ゴンドワナ雨林の生態系や生物多様性に関する野外実習を実施
・ゴールドコースト市内へ移動,ホテルチェックイン
  【ホテル泊】
10(日)ブリスベン・ホテルチェックアウト後,ブリスベンに移動
・ローンパインコアラ保護区にて,講義及び動物観察
・サイエンスセンター等,ブリスベン市内研修
・ブリスベン空港に移動
11(月)・移動日(ブリスベン空港=✈=香港=✈=中部国際空港)  
  【機内泊】

(6)実施内容

Alexandra Hills State High School アレクサンドラヒルズ州立高等学校

ブリスベンにある州立高校であるアレクサンドラヒルズ州立高等学校に3日間通学し,サイエンス系の授業に参加したり,課題研究の成果をポスターにまとめ,現地高校生とのポスターセッションを行いました。

▲交流授業の様子
▲ポスターセッション
▲バディとともに記念撮影

(参加生徒の感想)

  • 発表する前は少し緊張していたけど,アレクサンドラヒルズ州立高校の子たちの明るい雰囲気のおかげで楽しいプレゼンになり,聞く人の顔を見てコミュニケーションをとりながら話すことができました。うなずいて聞いてくれたり,質問をたくさんしてくれて嬉しかったです。
  • アレクサンドラヒルズ州立高校で,課題研究の内容を現地の高校生に英語で発表しました。初めは緊張していましたが, 何 度も回数を重ねるうちに次第にリラックスしてプレゼンを楽しむことができました。質疑応答では,英語で臨機応変に対応することの難しさを感じました。
  • アレクサンドラヒルズ高校ではバディと共に過ごし,授業の方法,内容,休み時間の過ごし方,男女の友情など,さまざまな習慣の違いを感じました。 3日間だけでしたが,2人のバディと英語を通して友情を築き,英語を学ぶ意味に気付くことができました。
The University of Queensland & WRREA クイーンズランド大学と野生動物救護リハビリ教育協会

オーストラリアの名門大学であるクイーンズランド大学(UQ)ガットンキャンパスを訪問し,附属動物病院等の施設見学を実施しました。
また,獣医師でありUQの研究者でもいらっしゃった水野哲夫先生(オーストラリア日本野生動物保護教育財団(AJWCEF)理事長)に,日本とオーストラリアの野生動物保全の在り方の違い等についてのレクチャーを行っていただきました。
野生動物救護リハビリ教育協会(WRREA)は,負傷してしまったり孤児になってしまった野生動物を保護し,再び野生に戻すための活動を行っている施設で,保護飼育中のワラビーやハリモグラなども見ることができました。WRREAは研究者でもある個人により開設されており,寄付金によって運営されています。ここでも,日本とオーストラリアの野生動物の保全に対する姿勢の違いを感じることができました。

▲野生動物保全に関するレクチャー
▲UQ附属動物病院の見学
▲WRREAでの研修

(参加生徒の感想)

  • WRREAでは母親をなくしたカンガルーの赤ちゃんや飼い主が飼えなくなってしまった鳥,飛べなくなってしまった鳥など傷ついた動物がたくさん保護されていました。そこでは自然に帰すことを目的に ,普段の餌やりや 人間との接 触の頻度など動物を一番に考えた飼育が行われていることを学び, 日本で保護された動物との飼育方法の違いに驚きました。
  • クイーンズランド大学では,獣医学部の動物病院や馬学部の設備を見学し,その後オーストラリアと日本の野生生物保全や生物多様性についての講義を受けました動物病院には馬などの大型動物を扱う専用の棟があったり,馬学部では自分の家の馬を連れてきて授業を受けると聞き,日本の大学との大きな違いに驚きました。それぞれの設備を普段一般の人が入れないところまで見学でき,講義で自然や動物を守る大切さを学べたことはとてもいい経験になったと思います 。
UQ Moreton Bay Research Centre クイーンズランド大学 モートンベイリサーチセンター

ブリスベンから約30kmに位置する,世界で2番目の面積をもつ砂島であるノースストラドブローク島にある,モートンベイリサーチセンターを訪問し,海洋生態系についての講義や地引網による魚類の多様性調査,マングローブ林の調査等を行いました。また,島内の野生動物の探索も行い,野生のコアラやカンガルー,ペリカン,イルカ等を見つけることができました。夜はセンター内に宿泊し,みんなで南十字座をはじめとする南半球の星空観測を行いました。

▲地引網による魚類の多様性調査
▲マングローブ林の調査
▲UQ講師によるレクチャー

(参加生徒の感想)

  • 干潮時に河口付近に行き,初めてマングローブ林を近くで見ました。マングローブがたくさんの根を地表に出しているのは,干潮時に呼吸をして酸素を取り入れるためだと学び,海水中でも生き続けることのできる構造に驚きました。この研修が他の植物にも興味 を持つきっかけになりました。
  • 地引網の実習ではいろいろな種類の魚を捕まえ,特徴を教えていただきました。また,海に漂うプラスチックによって命を落とすイルカがいるという話を聞いて胸が痛みました。海洋生物についての知識を得ただけでなく,自然を肌で実感することができ,良い経験になりました。
  • 島ではコアラやカンガルー,イルカ,ウミガメなどの野生動物をたくさん見ることができました。人間と同じ空間にたくさんの動物が生息していて,オーストラリアの大自然を間近で見て感じることができ,とても貴重な経験になりました 。
Springbrook National Park スプリングブルック国立公園

スプリングブルック国立公園のあるオーストラリア・ゴンドワナ多雨林群はクイーンズランド州東南部とニュー・サウス・ウェールズ州北東部の広範囲にわたる大森林地帯であり,世界遺産に登録されています。ここでは,木生シダが茂り1億3千万年前(ゴンドワナ大陸があった当時)の姿を残す亜熱帯多雨林,温帯雨林,ナンキョクブナの生育する冷帯雨林 などの異なるバイオームを見ることができました。

▲太古の姿を残す亜熱帯雨林
▲眼下に広がる雄大な自然
▲ナンキョクブナ
▲展望台からの眺め(右奥上がユーカリ林,その下の斜面に広がるのが温帯雨林,左奥が亜熱帯雨林)

(参加生徒の感想)

  • スプリングブルック国立公園内には,ユーカリ林,冷帯雨林,温帯雨林,亜熱帯雨林があり,一度に植生の変化を観察することができました。樹齢 2000 年を超えるナンキョクブナや,スケルトンリーフと呼ばれる,葉脈以外が分解されてしまった葉に実際に触れ,自然界の縮図を見た思いでした。
Lone Pine Koala Sanctuary ローンパインコアラ保護区

コアラやカモノハシ,ヒクイドリ等の野生生物を飼育するローンパインコアラ保護区では,オーストラリアの生物多様性を学ぶとともに,カンガルーやエミュー等と触れ合いながら,動物の生態を学びました。

▲カモノハシ
▲コアラ
▲カンガルーの給餌体験

(参加生徒の感想)

  • ローンパインコアラサンクチュアリではコアラをはじめとする,オーストラリアでしか見ることのできない生き物たちを近くで見たり,カンガルーに餌をあげたりすることを通して,オーストラリアの生き物の多様性を肌で感じることができました。

(7)発表ポスター一覧

  現地で発表したポスターを掲載します。なお,個人情報保護のため,氏名等は削除してあります。

  *STAT2019_Posters(新しいタブでPDFファイルが開きます)

●2017(平成29)年度 実施概要

(1)日時

  2018(平成30)年 3月4日(日)~12日(月) 6泊9日

(2)場所

  オーストラリア クイーンズランド州 ブリスベン及びゴールドコースト周辺

(3)おもな訪問先

  ・Mitchelton State High School(ミッチェルトン州立高等学校)
  ・The University of Queensland(クイーンズランド大学)
  ・Nudgee Beach Environmental Education Centre(ナッジービーチ環境教育センター)
  ・Springbrook National Park(スプリングブルック国立公園)
  ・Lone Pine Koala Sanctuary(ローンパインコアラ保護区)
  ・Science Centre(サイエンスセンター)

(4)参加者

  第2学年生徒 希望者 12名,引率教員2名(合計14名)

(5)行程

日付場所日程概要
4(日)・移動日(中部国際空港=✈=香港=✈=ブリスベン空港)  
  【機内泊】
5(月)ブリスベン・空港到着後,専用車にてミッチェルトン州立高等学校(以下,ミッチェルトン高校)へ
・ミッチェルトン高校にてオリエンテーション,サイエンス系の授業に参加・交流
  【ホームステイ】
6(火)ブリスベン・ミッチェルトン高校にてサイエンス系の授業に参加・交流
  【ホームステイ】
7(水)ブリスベン・ナッジービーチ環境教育センターを訪問,マングローブや干潟の生物多様性に関する講義及び野外調査を実施
  【ホームステイ】
8(木)ブリスベン・クイーンズランド大学セントルシアキャンパスにて,講義及び施設見学,学生との意見交換を実施
  【ホームステイ】
9(金)ブリスベン・ミッチェルトン高校にてサイエンス系の授業に参加・交流
・ミッチェルトン高校にて課題研究成果に関するポスターセッションを実施
  【ホームステイ】
10(土)ゴールドコースト・ホストファミリーとお別れ,スプリングブルック国立公園へ
・スプリングブルック国立公園にて,ゴンドワナ雨林の生態系や生物多様性に関する野外実習を実施
・ゴールドコースト市内へ移動,ホテルチェックイン
  【ホテル泊】
11(日)ブリスベン・ホテルチェックアウト後,ブリスベンに移動
・ローンパインコアラ保護区にて,講義及び動物観察
・サイエンスセンター等,ブリスベン市内研修
・ブリスベン空港に移動
12(月)・移動日(ブリスベン空港=✈=香港=✈=中部国際空港)  
  【機内泊】

(6)実施内容

Mitchelton State High School ミッチェルトン州立高等学校

ブリスベンにある州立高校であるミッチェルトン州立高等学校に4日間通学し,サイエンス系の授業に参加したり,課題研究の成果をポスターにまとめ,現地高校生とのポスターセッションを行いました。

▲ポスターセッションの様子①
▲ポスターセッションの様子②
▲バディとともに記念撮影
The University of Queensland クイーンズランド大学

オーストラリアの名門大学であるクイーンズランド大学(UQ)セントルシアキャンパスを訪問し,研究者によるキャンパス内の生物多様性についての野外実習,先端科学技術に関するレクチャー,ラボツアー等を実施しました。

▲キャンパス内の生物多様性についての野外実習
▲研究者によるレクチャー

▲ラボツアー
Nudgee Beach Environmental Education Centre ナッジービーチ環境教育センター

ブリスベン空港の近くにあるナッジービーチ及びナッジービーチ環境センターにて,マングローブや干潟の底生生物に関する野外調査,生物多様性保全に関するレクチャー等を実施しました。

▲マングローブ林の調査
▲干潟の底生生物の多様性調査①
▲干潟の底生生物の多様性調査②
Springbrook National Park スプリングブルック国立公園

スプリングブルック国立公園のあるオーストラリア・ゴンドワナ多雨林群はクイーンズランド州東南部とニュー・サウス・ウェールズ州北東部の広範囲にわたる大森林地帯であり,世界遺産に登録されています。ここでは,木生シダが茂り1億3千万年前(ゴンドワナ大陸があった当時)の姿を残す亜熱帯多雨林,温帯雨林,ナンキョクブナの生育する冷帯雨林などの異なるバイオームを見ることができました。

▲太古の姿を残す亜熱帯雨林へ突入
▲木生シダの生い茂る森
▲ナンキョクブナの大木とともに

Lone Pine Koala Sanctuary ローンパインコアラ保護区

コアラやカモノハシ,ヒクイドリ等の野生生物を飼育するローンパインコアラ保護区では,現地レンジャーの方による園内レクチャーツアーを行い,オーストラリアの生物多様性や動物の生態について学びました。

▲園内レクチャーツアー①
▲園内レクチャーツアー②
▲お世話になったレンジャーの方と一緒に記念撮影